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<建築業者の地盤強度を調査すべき義務>
建築業者と建物の新築工事に関する請負契約を結び、完成した建物の引渡しを受けたが、その後、建物が沈下し、建物の基礎にひび割れが発生したのは、地盤を調査して十分な強度を確保する基礎構造にすべき義務を怠ったものとして、建築業者の不法行為による損害賠償費任が認められた事例
(福岡地裁平成11年10月20日判決 確定 判例時報1709号77頁)
■事案の概要
Xは、平成6年5月、建築業者Yに、木造2階建住宅の新築請負工事を代金1,432万円余で発注し、11月完成した本件建物の引渡しを受けた。
その後、本件建物の基礎の中心部分に、南北に走るひび割れが発生していることが判明した。これは、地盤の強度が不十分である結果、不同沈下を起こし、そのため本件建物は全体に西側に傾斜し、それに伴い壁や天井のひび割れ、壁紙の断裂、障子と住の隙間、建具の建て付け不良等が生じた。
Xは、Yが擁壁を立てて造成した本件土地の形状を知りながら、地盤の強度の調査をすることなく、漫然と基礎工事を実施して本件建物を建築しており、Yには注意義務違反があるとして、不法行為により総額1,217万円余の損害賠償を請求した。その内訳の項目は、家屋改修工事費用(基礎補強工事費用・建物修理工事費用・消費税)、代替住居確保費用(引換費用・家賃2カ月分・仲介手数料・移転雑費)、調査費用、慰謝料及び弁護士費用であった。
これに対しYは、
1.本件土地を造成した売主業者から地盤はしっかりしていると聞いていたこと、本件土地の隣接地にもそれぞれ2階建建物を建築しているがそれらは沈下していないこと等により、本件建物が沈下するという予見又は予見可能性は全くないので、過失はない。
2.そもそも敷地の地盤の工事は本件請負契約の内容に入っていない。
等の反論をした。
■判決の要旨
これに対して、裁判所は、次のような判断を下した。
1.一般に建物を建築する業者としては、安全性を確保した建物を建築する義務を負うから、その前提として建物を建築する土地の地盤の強度等について調査する義務及び建物の基礎を地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとする義務を負う。
2.本件土地はかつて北から南に傾斜しているすり鉢上の斜面であったところを造成したものであり、Yはその現場を確認していながら、地盤の強度等の調査を行い、地盤の改良を検討する等した形跡はなく、Yには注意義務違反がある。
3. 従って、Yは、本件建物の沈下が招いた損害を賠償すべき義務を負い、Xの請求の移転雑費10万円を除く、1,207万円余をXに支払え。
■まとめ
建築家に対する専門家責任については、その仕事上のミスが注文者に与える影響が極めて重大であり、要求される注意義務も極めて高度であることが指摘されている。このような観点から請負業者や建築士などに対する損害賠償責任が認められた事例として、大阪地判 昭和53年11月2日 判時934-81、大阪高判 昭和58年10月27日 判時1212-67等がある。本判決もこれに一例を加えるものであるが、原告注文者の請求をほぼ全額認めた建築業者にとって厳しいものとなっている。注意義務の内容や損害賠償の算定などについて実務上参考になる点が多いと思われる。
(記事提供:財団法人不動産適正取引推進機構/RETIO) |
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