No.141 市街化調整区域と既存宅地

2013-04-22
■事案の概要
買主は、10年程前に、市街化調整区域内の土地付中古住宅を売主業者から購入し、居住していました。当該土地は2筆あり、うち1筆だけが既存宅地ですが、売主業者は、重要事項説明の際、当該土地の全体が既存宅地であると説明していました。
最近、買主が住宅の建替えを既存宅地でない部分に行おうとしたところ、建築確認を受けることができませんでした。そこで、買主は、業者に代替地の提供を求めましたが、業者の態度に誠意が認められないため、県に
申立てをして来られました。
県で、業者を呼んで事情を聞いたところ、業者は、「この土地付中古住宅は、他の業者から購入して転売したもので、重要事項説明は、購入の際に受けたものをそのまま転記してしまい、独自の調査はしていません」ということでした。
既存宅地については、都市計画法第43条の規制は除外されています。市街化調整区域の制度の趣旨からして、市街化調整区域に関する都市計画が決定された際既に宅地であった土地については、これを規制する理由はありませんので、これらの既存宅地については、都道府県知事の確認を受ければ、都市計画法第43条の制限がかからないことになっています。(同条第1項第6号)。しかし、この既存宅地の確認を受けていない土地については、厳しい制限がかかります。
従って、既存宅地の売買にあたっては、必ずその手続きが完了しているか、確認を受けた宅地の範囲はどの土地か、よく確かめる必要があります。これを怠って、既存宅地であると説明した土地の半分が実は既存宅地ではなく、買主が建築確認を受けられない場合、業者は、たとえ前の売主から聞いたとおりに説明したとしても、その責任を免れるものではありません。

■トラブルの結末
県としては、このような観点から、業者を指導するとともに、この業者には他にも違反行為がありましたので、宅建業法第35条第1項第2号違反として、業務の全停止6ヶ月を命じました。なお、その後業者は500万円を買主に返還して、和解が成立しました。
本件の場合、少し調べればすぐわかるのに、手を抜いて仕入れの時の資料をそのまま流用したために、高い授業料となりました。せめて、買主から指摘を受けたとき、もっと誠意のある対応をしていれば、行政処分も違ってきたのではないかと思われます。

(記事提供:重要事項説明の紛争事例/財団法人不動産適正取引推進機構)

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