No.434 著しく多量のゴミ放置と賃貸借契約

2013-04-22
(東京地判 平成10年6月26日 判タ1010-272)

借主が契約条件に反して、貸室内に極めて多量のゴミをかなりの高さにまで積み上げたままとしていた事案について、2年以上の長期にわたる非常識な行為で、衛生面の問題、火災発生の危険性があり、賃貸借契約の解除事由になるとした事例
(東京地裁 平成10年6月26日判決 確定 判例タイムズ1010号272頁)

■事案の概要
貸主Xは、平成元年10月、借主Y1に、Y2を連帯保証人として、共同住宅の1室を賃貸した。
同契約は、2年ごとに更新されたが、平成7年春火災報知器の検査により、本件貸室に相当量のゴミが積み上がっていることが発覚し、平成7年10月の契約更新の際、「Xは、貸室内において、危険、不潔その他近隣の迷惑となるべき行為をしてはならない」(10条)旨約定された。
しかし、Y1は、ゴミの放置状態を改善せず、Xから再三注意を受けていたのに、極めて多量のゴミをかなりの高さにまで積み上げたままにしていた。
Xは、平成9年10月の契約更新の際、Y1は1カ月以内にゴミを撤去することとし、これに違反したときは賃貸借契約は当然に解除されて終了する旨約定した。
しかし、Y1は、同約束を履行しなかったので、Xは、平成10年2月、本件賃貸借契約を解除し、Y1に対し、貸室の明渡しと、Y1、Y2に対し、明渡しに至るまでの賃料相当損害金を請求した。

■判決の要旨
  1. 以上の事実によれば、Xは、貸室内において、危険、不潔その他近隣の迷惑となるべき行為をし、賃貸借契約10条に違反した。
  2. 賃貸借契約において、貸室内のゴミ放置状態が多少不潔であっても、直ちに賃貸借契約の解除事由を構成するものではないが、本件においては、Y1はXから再三注意を受けながら、事態を改善することなく2年以上の長期にわたって、貸室内に社会常識の範囲をはるかに超える著しく多量のゴミを放置するといった非常識な行為をしているのであって、衛生面だけでなく、火災発生の危険性もあり、X及び近隣住民に与える迷惑は多大なものがあるから、本件行為は賃貸借契約の解除事由を優に構成する。
  3. 従って、Xのした本件賃貸借契約の解除は、有効である。
  4. よって、Y1は、Xに対し、本件貸室を明け渡し、Y1、Y2は、平成10年2月13日以降明渡し済みに至るまで賃料相当損害金を支払え。

■まとめ
本件は、消防署からも火災発生の危険があるとの注意を受けており、2度にわたり契約更新の際、Xがその改善を求めたのに、Y1は、これに応じないで、かえって高く積み上げたものである。衛生上の問題、火災発生の危険があるから、賃貸借契約の解除事由になるとされたのは、当然であろう。
なお、Y1は、身だしなみも悪く、身だしなみの改善も更新条件とされていたようである。

(記事提供:財団法人不動産適正取引推進機構/RETIO)

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